エースコンバット7 エイブリル

【評価/感想】『エースコンバット7』レビュー やっぱり無人機ってクソだわ

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン
ジャンル  : フライトシューティング
機種    : PS4/Xbox One/PC
開発    : バンダイナムコ
発売日   : 2019年1月17日
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総評

『エースコンバット7』は「空の革新」に成功した。美しくリアルな大気はシリーズの復活に相応しいが、無人機は面白くない。

7.7/10
良い
  • 美しい空と気象
  • フライトコンバットは唯一無二の体験
  • 快適なF-22A
悪い
  • バリエーション豊かだが、当たり外れのあるミッション
  • 記憶に残らないストーリー
  • 無人機

エースコンバットシリーズが発売されなかった長い間、エースコンバットのようなゲームは他になかった(開発途中の『Project Wingman』を除けば)。「フライトシューティング」というニッチなジャンルのエースが還ってきたのだ。

エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』は『エースコンバット6 解放への戦火』以来、12年ぶりのナンバリング新作だ。Unreal Engine 4の力を得て「空の革新」をテーマにこれまでになくリアルな大気、雲、異常気象を実現している。

「フライトシミュレーター」と呼ぶほどにはリアル志向ではないが、精密に作り込まれたコックピットには明らかにシミュ的な情熱を感じる。一方でシューティング的なゲーム性やレベルデザインも備えている。それがエースコンバットの「フライトシューティング」だ。

コックピット

『エースコンバット7』ではシリーズを通して舞台となる現実とは異なる架空の歴史を持つ「ストレンジリアル」の世界の中で、片渕須直脚本によってオーシア/エルジア、有人機/無人機、若者/老人、正規部隊/懲罰部隊といった対比のもとドラマが展開される。個人的には、短編映画のようなオープニングムービーを見た時からこのドラマパートには凄く期待していた。

キャラクター以外のグラフィックは最高に美しい

エースコンバット7 空

『エースコンバット7』のテーマである「空の革新」は、雲と気流がその中心となっている。

実際に遊べば一目でわかることだが、空のグラフィックは相当凄い。岩山の周囲に漂う雲、太陽の沈むオレンジ色の空、窓に生じる水滴は大気の流れを間近で実感させてくれる。革新された空がグラフィックだけでなくゲームプレイにも影響を与えることでリアリティは更に増す。分厚い雲は視界を遮り、ミサイルの追尾性能を下げ、雷を落とす。雲に突入した時の感覚は自衛隊のパイロットに取材して開発されただけあって真に迫っている。『ジャストコーズ4』ほどハチャメチャな気象はないが、迫力では負けていない。

地上に見える建造物も、空から見下ろす限りではハリボテではなく細部まで作り込まれているように見える。作り込まれているからこそミサイルの撃ち込み甲斐があるというものだ。

ハリボテ

ゲームデザインにおける「革新」はほとんど、というか全くない。HUDもブリーフィングの雰囲気も強烈な懐かしさを感じるほどいままで通り。今回はとにかく「遊び場」のグラフィックに注力したということなのだろう。単純だが、ゲームフィールを大きく改善するこの選択は正解だった。

容赦ないミサイルの嵐

エースコンバット7ミッション7

『エースコンバット7』の難易度はフライト慣れしていない人間にはいささか厳しい。制限時間は短く、要求スコアは高く、接敵時は常にミサイルアラートが鳴り響く。

頻繁にチェックポイントが用意されているわけではないので、対地ミッションで山やビルを回避し損ねたり雲の中で雷に撃たれたりして一瞬にして20分近いフライトが無駄になることもある。味方機が全く仕事をしない中で落雷を避けながら素早くUAVを処理しなければならないミッション7は素人パイロットにとって最初にして最大の壁だ。カウントでなくても「勘弁してくれ!」と言いたくなる。

こうした難関に観察と訓練をもって挑むのがゲーマーという生き物だ。ところで筆者はオンラインモードで効率的にMRPを稼げることに気付き、対戦をやり込んでF-22Aまで解放しキャンペーンに持ち込んだ。こうなると敵のミサイルや機関銃で死ぬことはまずないし、いとも簡単にUAVの背後を取れるようになる。

エースコンバット7 F-22A

これをゲームを台無しにしたと取るか快適と取るかは人によるだろうが、二度と護衛ミッションを失敗したくなかったのでこの攻略法に満足している。そこまではせずとも、筆者のようにスキルのないプレイヤーには優先的に標準ミサイルを強化することをお勧めする。

アーティファクトツリー

ちなみにマルチプレイは各人がやりたいことをやってるだけのあまりにもカオスな空間で、最初は楽しいが何回かプレイしたら完全に飽きてしまった。多分、『エースコンバット7』のデザインでは対戦よりも協力の方が面白い。

『エースコンバット7』には多様なミッションが存在し毎回プレイヤーを新鮮な気持ちで空に送り出してくれるが、無人機の掃除はほとんど常に退屈だ。それは交戦しても敵のリアクションがないからであり、機動が単調かつ強力だからでもある。このゲーム的な「つまらなさ」はストーリー上の無人機の扱いともリンクしているため一概にゲームデザインの失敗とも言い切れない。しかしまあ、エースコンバットで空中戦をしているのにつまらないのはやっぱり良くない。そういう意味では後述するストーリーの面でもミッションの面でもミハイにはもっと頑張って欲しかったところ。

エースコンバット7無人機

もちろん面白いミッションもたくさんある。そもそも空中戦が爽快なので敵が量産型ドローンでさえなければまず面白い。なかでも特に面白いミッションではステージデザインとストーリーが密接に関係している。ネタバレを許してもらえれば紹介できるのだが。

印象的ではないストーリー

エイブリル2

素晴らしいOPを見て期待していただけに、手放しでストーリーを称賛できないのは本当に残念だ。ミハイやエイブリルは魅力的なキャラクターだが、もっと魅力的になれたはずなのだ。

ストーリーは主にミッション中の無線通信とプリレンダリングのカットシーンで語られる。マップ画面を見ながら司令官が作戦を伝えるブリーフィングでもストーリーらしきものはあるが、ほとんどはシンプルな状況説明であまり気が利かない。

ブリーフィング

無線通信における最大の問題は、それが頭に入ってこないということだ。ビルや山や大量のミサイルを慎重に回避しながら無線で飛び交う似通った声を区別するのは初見ではなかなか面倒な作業だ。
複雑な会話が交わされているわけではなく、聞き流しても別に困らないのだが、おそらく開発者が意図したほどには共に戦う仲間達のキャラクターは立っていない

エスコン7の無線通信

主人公(トリガー)が顔の見えない無言の存在である以上、周囲のキャラクターとの関わりがトリガーの存在感を生むはずだ。にもかかわらずキャラクター描写はほとんど記憶に残らない。無線通信の中にはカウントとトリガー、カウントとワイズマンのようなどう転んでも面白くなりそうな関係性もあるのに、本当に面白くなる前に終わってしまうのは残念。少なくともカウント、タブロイド、バンドッグといったキャラクターと出会った時に抱いた「これは絶対に面白くなるに違いない」という期待は超えてくれなかった。

カットシーンに登場しているのに興味を惹かれないキャラクターもいる。エルジア勢がそうだ。特にエルジア王女コゼットはシナリオの前面に出ながらいまいちピンとこない対話を続けるせいで、彼女の演説が国際的に支持を得ていたという前提が疑わしく思えてしまった。ミッションクリアのご褒美として合間合間で時間をかけて丁寧に語られるミハイ、ミハイの孫、王女、研究者らのムービーは5分以下で描写されたエイブリルの過去よりも印象に残らない。おかげで「戦争を多方面から描く」というコンセプトは的を外しているのではないかと思う。

中盤までの期待外れな物語と比べて、後半の熱い展開にはそれなりに引き込まれる。どうしてもコゼットを目立たせたいらしいカットシーンにはノれなかったが、「ゲームプレイを通してストーリーを語る」というエースコンバットの十八番が機能しだすのは嬉しい。

全体としては「描きたいことが多すぎて描き切れなかった物語」という印象だ。懲罰部隊も、エルジアも、ベルカも、AIも、軌道エレベーターも、ハーリングも、どれも魅力的な素材だが物語として仕上がっていない。焦点を絞って丁寧に描写してもよかったのではないか。特に前半は「懲罰部隊がどう懲罰的かって?」をもっと教えて欲しかった。最高に美味しそうな設定なのに「やたら制約の多いミッションをやらされた。ほかに特にいうべきこともない」くらいの感想にしかならないのは惜しすぎる…。

エースコンバットでしか得られない体験は確かに存在する

エースコンバット7メカニック

エースコンバットに何を求めるかという違いで、『エースコンバット7』の評価は大きく割れるだろう。

熱いストーリーを求めるなら後半の盛り上がりに満足できるだろうが、もうちょっと洒落た演出を求めるなら『バトルフィールド 1』の「高き場所の友」でもやったほうが良い。 美しく広がるリアルな空を体感するのが目的なら文句なしにお勧めするが、無双してハイスコアを叩き出す爽快感を求めるならMRPを稼いで強力な機体を獲得しなければならない。

『エースコンバット7』が戦闘機ファンにはたまらない唯一無二のゲームでありフライトシューティングとして十分な独自性と価値があることは間違いなく、ゲームのコア体験は古びていない。シリーズのファンならもちろん購入すべきだ。 今作で培われた技術をベースに優れたプロットとミッションを手に入れれば、『エースコンバット8』は傑作になるはずだ。

しつこく言って申し訳ない…「有人機よりもはるかに強力な無人機」という設定が現代的な味付けに一役買っているのは認めるが、それでも無人機戦は面白くない。ミハイ戦と比べたら一目瞭然ではないか。これだけ技術が発展した世界で、いくら戦禍を拡大させたとはいえ無人機の研究が後退するとは思えないのだが、なんとかして無人機の存在をストレンジリアルの歴史から抹消できないだろうか?ベルカの民よ、頼む。

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