
【評価/感想】『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』レビュー 競技性・お祭り感を最高峰のレベルで両立した歴代屈指の傑作
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
- 全ファイター参戦
- 対戦バランスの良さ
- パーティーゲームとしての楽しさ
- 充実したオンライン対戦の機能
- グラフィックの向上
- 不親切なUI
- コレクション要素が少なめ
- ホームランコンテスト廃止などお遊び要素の減少
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』はスマブラシリーズの最新作で、歴代最大のボリュームと銘打って発売された任天堂の自信作だ。
競技用ゲーム・パーティーゲームを両立しつつ完成度も高い今作は対戦ガチ勢・エンジョイ勢の両方から好評を得た。
UIの不便さなど受け入れがたい点は存在するものの、その悪い点を上回るたくさんの良い点がある。
友達とワイワイ遊ぶにはこれ以上無いタイトルとして、どんなゲームでも代替できない『スマブラSP』は間違いなく傑作と言えるだろう。
このレビューでは、歴代のスマブラシリーズを全てプレイしforからはオンライン対戦をプレイしている筆者が具体的な評価と問題を書いていく。
まさにSPECIALなゲームボリューム

発売時のファイターに加えて完全新規ファイターも5体参戦する。
- 過去に参戦したファイターが全て参戦
- BGM数が過去最大
- ステージ数が過去最大
- アイテムのボリュームも過去最大
スマブラSPはこれまでの作品と違ってファイターのリストラが無く、歴代スマブラシリーズに参戦したファイターを全て参戦させている。
キャラクターゲームにおいてプレイアブルキャラクターの多さは遊びの幅に直結するので、よくぞ頑張って揃えてくれたと言いたい。
コナミの「メタルギア」やスクエニの「ファイナルファンタジー」のように任天堂以外から参戦しているファイターは本来無条件に使えるわけではない(前作はスネーク未参戦)ので、任天堂とディレクターの桜井政博氏の手腕と人脈があっての全員参戦だろう。

懐かしいステージも復活しており、スマブラ64が初出の『ヤマブキシティ』はあえてグラフィックを64に寄せるというニクい演出がある。
ただし『ポケモン亜空間』など一部のスクロール系ステージは存在しておらず、残念ながら全ステージ復活は叶わなかったようだ。
BGMも豊富であり、今作用にリミックスされた楽曲や新曲の収録が多いのは嬉しい。
収録されている音楽からプレイリストを作成することができるため、ニンテンドースイッチを音楽プレイヤー代わりにして楽しむこともできる。
更にはステージごとに楽曲の選出率まで設定可能、オンライン部屋で流れる音楽も設定可能と至れり尽くせりなコンテンツ量だ。
歴代屈指の対戦バランスの良さ

当サイトが作成した発売直後のキャラランク

当サイトが作成した2019年1月25日時点のキャラランク
スマブラSPは初代の64~forまでに登場しているファイターを全員参戦させながら、意外にも対戦環境のバランスに大きな偏りはない。
ダッシュファイターとDLCファイターを除いても69名のファイターが登場しているが、発売から常に環境は変動し続けている。
国内外の大会で結果を出しているファイターも様々で、強キャラと言われているファイターは全体の1/3に及ぶ。
このバランスの良さにはスマブラSPの調整班として開発に参加している元上位プレイヤーたちも一役買っているのだろう。

2018年11月1日に公開されたスマブラダイレクトにて、調整はVIPを基準にすると語られている。
もちろん発売後もアップデートによってゲームバランスは調整されている。ファイターの調整は『VIPマッチ』という上位プレイヤーのみがマッチングする試合を基準としている。
ディレクターの桜井政博氏は「(強キャラについては)ネットの話はあまりあてにならない」「プレイヤーの実力の比重が大きい」とニンドリ3月号の紙面上で、今作は実力ゲーであることを語っている。
ファミ通1月31日号によるとVIPマッチの1on1ならばファイター勝率は「43.7~56.8%」に収まっているという。
一方、数十連勝から百連勝を達成しているプロゲーマーはいくらでもおり、VIPマッチというカテゴリでは満足のいかないプレイヤーも存在するほど実力の幅は広い。
当サイトでも独自にキャラクターランクを作成しているが、頻繁に更新しなければ対戦環境についていけなくなる。それだけゲームのバランスが良いということだ。
スピリッツ(灯火の星)には疑問も

- ファイターに能力を付与して遊べる
- スピリット同士での対戦ができる
- 参戦していないファイターの再現
- スピリットの総数は1300体以上
- スピリットボードのルーレットが邪魔
- 灯火の星は好きなファイターを最初から使えない
- 相手のスピリットを対策してもなおアンフェア
- 強いスピリットで勝つと報酬が減る仕様
- スピリットの切り替えが面倒
今作には「スピリッツ」というお遊び要素がある。倒したスピリットの能力をファイターに付与して様々なスピリットと戦っていくというモードだ。
アドベンチャーモードの『灯火の星』もあり、スピリットの数は1300以上と膨大なのでコレクション要素として十分なボリュームがある。
しかしこのスピリットは良い部分よりも悪い部分が目立ってしまい、チャレンジ要素としてもコレクション要素としても中途半端な印象を受ける。

高難易度のスピリットほどルーレットも難しくなっているので、アイテムの使用やゲームの仕様をついた攻略が必要。
手に入れたスピリットを見るための図鑑モードは存在するものの、イラストを鑑賞するだけで過去作のように説明文を読んで楽しむことができない。
更にスピリットボードではクリア後にルーレットがあり、そのルーレットをクリアしないとスピリットを獲得できない。
コレクションを楽しませたいならこのルーレットは本当に必要だったのか?という疑問を抱くのは自分だけではないはずだ。

高難易度で話題となったポリーン。ステージすら敵として襲いかかってくる。
高難易度のスピリットは対策をしても相手は自由に動くことができ、プレイヤーが一方的に不利になる戦いばかり。
挑戦するために対策用のスピリットを用意するというハードルもあり、そのハードルを乗り越えても難易度は高い。
幸いにも挑戦内容のバリエーションとキャラクターのボリュームは豊富なので好きな人は困難を乗り越えてスピリット収集にのめり込むかもしれないが、ストレスを感じる要素が多すぎるので放置しているというプレイヤーも多いだろう。
なお当サイトではスピリットモードの攻略情報も掲載している。行き詰まった人は以下の記事を参考にゲームを進めて欲しい。
UIの不親切さが最大の問題点

- メニューで戻るにはBボタンの長押しを要求される
- 画面上には説明の無いXYボタンの多用
- たどり着きにくい操作説明
- 画像を並べただけのファイター・ステージ選択画面
- アイコンの表示だけで済ませるメニューの多さ
- 移動の遅いカーソルを動かして選択という場面が多い
- 大乱闘では試合前にルールをセットして保存する必要がある
今作は「UIの不親切さ」が最大の問題点だ。
画面上では分かりにくい操作が求められる場面が多く、例えばステージの終点化・戦場化の方法は説明不足だ。
最初から「スマブラ慣れ」しているユーザーを基準にUIを作っているのではないか?
ファイター選択画面で作品ソートが無く、参戦順に並んでいる点からもそう思える(オフラインでは皆で一斉に選ぶ仕様上しかたがないのだが)。

最も不親切に感じるのはこの場面。キャラクターを選択した際に出る「READY TO FIGHT」は何を考えて表示させたのかとデザイナーに小一時間問い詰めたいほど鬱陶しい。
この帯のせいでどこに自分のカーソルがあるか分からないし、まだこっちは選んでるんだよ!
仕様上アップデートで改善できるようなものではないので、不便な操作と見えない情報に慣れるしかない。
前作でも扱いにくいUIは問題視されていたが、スマブラ史上最大を謳う今作でも改善できなかったのは残念だ。
総評:全てがSPECIALで最高峰のスマブラ
筆者はスマブラSPを1on1のガチ対戦ゲームとしても皆で遊ぶパーティーゲームとしても楽しんでいる。
前者には自分の技術を磨いて強敵に勝った時の喜びがあり、後者はアイテムやステージによるアクシデントが面白い。
ファイター1体を極めるも良し、アイテムありで盛り上がるのも良し、アイテム無し終点でストイックに遊ぶのも良し、スピリットを集めるも良し、クリアゲッターを埋めるも良し。
スマブラSPには「決まった遊び方」が無いので、心行くまま自分の好きな遊び方で楽しむことができる。
そしてそんな自由な遊び方を許すSPECIALなボリュームがこのゲームにはある。
SPECIALすぎて次回作はこれ以上何をすればいいのか?と心配になってしまう。
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当サイトは『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の攻略に力を入れており、ファイターごとのデータベースやテクニック攻略記事も掲載している。
海外での評価が気になるという方は以下の記事からどうぞ。