
「Valve Index」レビュー 狭い部屋でどこまで遊べる?Steamの人気VRゲームで検証

Steamを運営するValve社が販売する「Valve Index」は、数あるPC接続のVRヘッドセットの中でも最高クラスの性能を持ったVRキットと言われています。
一方、最高のVR体験のためには広いプレイスペースが必要という意見もあり、部屋が狭いという理由で「Valve Index」を購入するのを躊躇っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では筆者の狭い自室で「Valve Index」がきちんと動作するのか、Steamの人気VRゲームを使って検証してみました。
目次
「Valve Index」を使ってみた感想
プレイ環境(ガレリア XA7R-R37) | |
CPU | Ryzen 7 3700X |
---|---|
GPU | RTX 3070 8GB GDDR6 |
メモリ | 16GB DDR4 SDRAM |
マザーボード | ASRock B550 TW |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
今回、「ガレリア XA7R-R37」を使って「Valve Index」を初めてプレイしましたが、これまでに使ったことのあるVRとは根本的な違いを感じました。
「Valve Index」を他のVRキットと決定的に違うものにしているのは「ヘッドセット」「コントローラー」「ベースステーション」の3点です。
実際に使ってみたプレイフィールから紹介します。
「Valve Index」ヘッドセット
「Valve Index」のヘッドセットは、他社のVRヘッドセットと比べて付けやすいのが魅力です。
他社のヘッドセットのような、いちいち縛って頭から落ちないようにして完全にレンズを固定して、左目と右目の距離を計測して…という作業は不要です。
ただすっぽりかぶって、適切な目とレンズの距離でプレイする、それだけです。
それだけなのに現実としか思えないゲーム映像が最大144Hzでヌルヌル動くので、圧倒的なリアリティと装着の簡単さの落差に驚きます。
人によっては耳に接触しないスピーカーを一番気に入るかもしれません。
他社のVRヘッドセットでは耳をがっぽり覆うため汗だくになり、顔面がびしゃびしゃでVRどころじゃない、なんてこともありましたが、「Valve Index」ならそんなことは絶対にありえません。
耳にべったりくっつけるより耳から離したスピーカーのほうが自然でリアルな音が聞こえるのは皮肉です。
「Valve Index」コントローラー
「Valve Index」のコントローラーはこれまでのVRコントローラーとは一線を画しています。
まずゲーム内では、五本指がかなり正確に感知されるようになり、没入感とプレイの幅は一気に増しました。
つまり、何かものをつかんだり、落としたり、投げたりといった動作をゲーム的ではなく、リアリティをもってできるようになったということです。
ゲーム外の便利さは、コントローラーがベルトや形状で手にくっついているため、「コントローラーを持っている」という負担が一切ないということです。
「重いコントローラーをずっと持っていなければいけない」というのはVR疲れの一因ですから、これを解消できたのは革命的です。
「Valve Index」ベースステーション
ベースステーションの技術的なところは「Valve Indexの公式サイト 」を確認してほしいのですが、実際にプレイしてみたところ、500mlペットボトルより小さいこのベースステーションを2個置くだけで、視点の動きはもちろん細かい手の動きまでトラッキングされるのは、さすがはValve社だと感心させられました。
「Valve Index」のセットアップ方法
「Valve Index」のトラッキング方法は大きく分けて2つ。
「最小縦2メートル、横1.5メートルの対角線上のベースステーションを置いたルームスケール設定」もしくは「立位もしくは着席でプレイする設定」です。
筆者の狭い部屋ではどんなに頑張っても2メートル×1.5メートルもスペースを用意できないので、以下の画像のようにベースステーションを設置してみました。
赤い丸で囲われているのがベースステーションです。手前のベースステーションは三脚に、奥のベースステーションはデスクの上に設置しています。
この画像のベースステーションに囲われているエリアは縦1.5メートル、横1.3メートルですが、範囲内にPCやテーブルがあるなど、思い切り手を振り回せるような環境ではありません。
当然、プレイするならほぼその場に立ちっぱなしで足は大きく動かさない、という条件になります。
SteamでおすすめのVRゲーム
Steamの全世界売上上位ランキングから「日本語あり」「VRのみ対応」で絞込検索し、人気上位のVRゲームをプレイしてみました。
実際に筆者が自室環境でプレイした動画も添付しているので参考にしてください。
バットマン:アーカム VR
『バットマン:アーカム VR』は狭いプレイエリアでも全く支障ありません。
バットマンらしいなりきり感という意味では圧倒的にクオリティが高く、正直2017年のゲームとは思えません。
移動がボタン式で思い切り腕を伸ばす場面もないのでひたすら世界観に没入できます。
Beat Saber
『Beat Saber』は狭いプレイエリアのなかでもプレイ可能です。
特に難易度ノーマル程度であれば余裕をもってクリアできると思います。
ただ、難易度「ハード」以上の難しい曲になると曲中で体を傾ける「ウォール」の対処が難しく、狭いプレイエリアの中でぎりぎり回避しなければならないので、動画のようにミスが出がちという印象を受けました。
『Beat Saber』はプレイしていると興奮して足が動き、周囲の物に手をぶつけかねないため、最高のプレイ環境を作りたいのであればやはりある程度余裕のある空間は必要なのかもしれません。
もちろん、冷静に、最小限の動きでプレイできる音ゲー上級者ならこんな問題はありません。
SUPERHOT VR
時間を操るFPS『SUPERHOT VR』はかなり激しく動くVRシューターです。
激しく動くといっても足を動かして大きく移動するわけではなく、その場で襲い掛かってくる敵を迎撃するタイプの戦闘なので、狭いプレイエリアで遊べないということはありません。
身をかがめてオブジェクトで射線を切り、近づいてきた敵に物をぶつけて倒す、といった「しゃがみ」と「立ち」の動きがあるので、ベースステーションの置き方が悪いとトラッキング外に飛び出てしまうという点は注意が必要です。
時の止まった世界で立ったりしゃがんだり体を傾けたりといった運動で披露困憊するゲームでもあります。もし座ってコントローラーを握ってまったりプレイしたいというなら『SUPERHOT VR』はおすすめできませんが、間違いなく面白い傑作です。
「2メートル×1.5メートル」とは言いませんが、最低限の空間を確保できたら覚悟を決めてプレイしてみてください。
Half-Life: Alyx
上記トレーラー動画からは想像できないかもしれませんが、『Half-Life: Alyx』は意外なことに、狭いプレイエリアでも楽しめる非常にユーザーフレンドリーなVRゲームです。
『Half-Life: Alyx』はValveが「Valve Index」とセットで推しているだけあって、「Valve Index」でプレイするのが一番です。
『Half-Life: Alyx』は物理演算を活かした遊び、アクション、パズル要素がありながら、それらに過度なプレイヤースキルや足を動かすことを要求しないので、最初から最後まで落ち着いてストーリーと世界観に没入できる大傑作です。
動き回らずにさまざまなオブジェクトに触ることができる理由がこの「グラビティグローブ」です。
遠くにあるものを手元に引き寄せられる機能で、今後全てのVRゲームに導入してほしいくらいです。
「Valve Index」を買って『Half-Life: Alyx』をプレイしないのは損です。広いプレイエリアを作れなくても絶対にやってほしいゲームです。
「Valve Index」必要スペック・推奨スペック
最低スペック | 推奨スペック | |
---|---|---|
OS | Windows 10 | Windows 10 |
CPU | Dual Core with Hyper-Threading | Quad Core + |
GPU | GTX 970, AMD RX480 | GTX 1070 or better |
公式サイトによるValve Index を遊ぶために必要なPCスペックです。
この推奨スペックはあくまで必要最低限のものなので、より没入感のあるVRゲームをプレイしたいなら予算は高めに設定してCPUとGPUは最新のものを購入することをおすすめします。
実際、「Valve Index」の目玉である『Half-Life: Alyx』の推奨GPUは「GTX 1060」とされていますが、うのみにするのは危険です。
PCGAMERの調査によれば、『Half-Life: Alyx』を高いフレームレートでプレイしている時は本当に自分がその世界にいるように感じるが、低いフレームレートでプレイするといかにもゲームをプレイしているように感じるだけでなく、酔って吐き気を催すとのこと。
『Half-Life: Alyx』を最高設定でプレイしたければ少なくともRTX 3070、万全を期するならRTX 3080以上を用意しておくのがよさそうです。
『Half-Life: Alyx』以外のVRゲームも公式の推奨スペックはあまり当てにならず、「没入感」と「VR酔い」の問題をクリアするためにもグラボの性能は高ければ高いほどいいと断言できます。
プレイ環境(ガレリア XA7R-R37) | |
CPU | Ryzen 7 3700X |
---|---|
GPU | RTX 3070 8GB GDDR6 |
メモリ | 16GB DDR4 SDRAM |
マザーボード | ASRock B550 TW |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
今回筆者が使ったPCではすべてのVRゲームが全く問題なく機能しているので、参考にしてみてください。
こちらの記事では予算30万円以上の高性能なゲーミングPCを紹介しています。VRゲームを完璧に楽しみたい方はぜひチェックしてみてください。
「Valve Index」は狭い部屋でもトラッキング可能
「Valve Index」は狭い部屋でも、ベースステーションの範囲が狭くても優れたトラッキング性能のおかげで十分プレイ可能でした。
幸いなことにプレイエリアを走り回るような激しい運動を要求するVRゲームは少なく、またゲーム以外にもVRライブやVR動画といった楽しみ方も多種多様にあるので、もし広いプレイエリアを作れない人でも、「Valve Index」を買って損した!とは思わないでしょう。
筆者のように狭い部屋で「Valve Index」を遊びたい!と望んでいる人たちは、まずは狭いエリアで存分にVRを楽しみ、ガンガン動き回るようなVRゲームを遊びたくなったら、思い切って模様替えしてプレイエリアを作る、というやり方をおすすめします。